異世界もふもふ保育園へようこそ!

 地方の他部族の領地を見て回って王都との差はかなりの物だろうから、確かに改善の余地は大いにあるし、他の部族も道が整えば交流もそこまで難しくなくなるのではないかと思う。

 王子様に任された仕事は、結構重要でひいては自身の兄が王位を継ぎ、それを支えるにも役立つものであると理解できたのかもしれない。

 「ハルナ、貴方のおかげね。ありがとう」

 そんな王妃様からの言葉に私は、少し首を横に振って返事をする。

 「私は大したことはしていません。提案したにすぎず、実行に移したのは両陛下ですし、それに従って行動したのは王子様本人ですしね」

 そんな私に王妃様は微笑んで言った。

 「きちんと周りが見えて、言うことは言える。そんなハルナだからきっとスキルやギフトが無くても愛されるんでしょう」

 王妃様はそう言ったあとに少しだけ微笑んで、そして寂し気に言う。

 「だからこそ、ハルナが最近少し物寂し気にしていることも知っていますよ。ここは先生方も優秀でしょう? ハルナ、今月の末には羊族の領地へ帰れるように予定を組みますからね」

 王妃様はやはり子を持つ母であるし陛下と国を支えてもいる。私みたいなひよっこでは感情や考えも読めてしまうのかも。

 「確かに羊族のみんなのことを考えていました。ここに来て、同じように保育園で子ども達と過ごして気づいたんです。私は、やっぱり羊族のみんなが好きだって」

 私が素直に言葉にすると王妃様は微笑み頷いた。
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