異世界もふもふ保育園へようこそ!

 帰り着いて、お土産も配り終えて夕刻になるころ警備で村の端まで行っていたカーライドさんも帰宅した。

 「ハルナ、おかえり」

 柔らかく笑うカーライドさんに私も言った。

 「お仕事お疲れ様。ただいま、カーライドさん」

 久しぶりに揃って食べるライラさんお手製の夕飯は私にさらに帰ってきたという感覚を促し、胸が温かくなった。

 そして、離れてみて気づいた。
 優しく見守り、色々教えてくれていた人に淡く抱いていた気持ち。

 レザント王子とも接したから違いが分かったともいえる。
 私がここを好きなのは、好きな人もいるからだってこと。

 レザント王子は兄だと思えるし、友人にもなりえる。
 でも、カーライドさんはそうじゃない。

 お兄さんとは思えないし、友人では物足りない。

 でも、しばらくは忙しいだろうからこの気持ちを告げることはないだろうけれど。
 気づいた気持ちを大切に、ゆっくり育めればいいと思っていたがどうやらそれは私だけだったと気づくのにそう時間は掛からなかった。
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