【完】溺愛したいのは、キミだけ。
そう言って倉田くんが花瓶に手を伸ばす。


その瞬間、無意識に声をかけてしまった。


「よかったら私、手伝おうか?」


……あっ。私ったらつい、いつもの調子で。


こういう時、どうしても反射的に手伝ってあげたくなってしまうんだ。余計なお世話だよね。


すると、倉田くんは嬉しそうに笑って。


「マジで。じゃあ一本お願いしていいかな?」


もう一本の花瓶を私に手渡してきた。


二人で近くの水道まで行き、中の水を入れ替える。


そしたら倉田くんが突然こんなことを口にした。


「涼川さんって、やっぱり優しいよね」


「えっ?」


「せっかくの昼休みなのにさ、俺の手伝いなんかしてくれちゃって」


「そ、そんなことないよっ。ちょうど暇だったから」


「いや、ほんとに助かるよ。それに俺、涼川さんといるとなんか癒されるんだよね」


そんなふうに褒められたら、照れてしまう。


癒されるだなんて。



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