【完】溺愛したいのは、キミだけ。
――ピンポーン。


今さらのように緊張しながらおそるおそるインターホンのボタンを押す。


すると、少し間をおいて、スピーカーからボソッと声が聞こえてきた。


「……はい」


「あ、えっと私、クラスメイトの……」


「え、ヒナ?」


どうやら翠くん、すぐに私だって気が付いてくれたみたい。


「あ、うん。あの、ちょっとお見舞いに……」


いきなり自宅に現れて、ビックリしたよね。


差し入れ渡したらすぐに帰ろう。


そしたらそこでガチャッと玄関のドアが開いて、中からTシャツ姿の翠くんが現れた。


ひどく驚いてる様子の彼。でもその表情は、やっぱりちょっと辛そうで。


「マジかよ。来てくれたんだ……」


「えっと、その、心配だったから……。さっきちょうど颯希くんに会って、家を教えてもらって」



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