【完】溺愛したいのは、キミだけ。
すると翠くんの唇が、今度は私の耳にチュッと優しく触れて。


「んっ」


思わず体がビクッと跳ねる。


ど、どうしよう。なにがどうなってるの?


こんな翠くん、知らない……。


体中が、沸騰したように熱い。心臓があり得ないほどの速さで脈を打って。


「ヒナ、マジで可愛い」


翠くんがそう言って、今度は私の手首を片方掴んで、もう片方の手で優しく頬に触れてくる。


「み、翠くん……ほんとに、待って……っ」


「無理」


そう答えると、ゆっくりとまた首元に顔を近づけてくる翠くん。


思わずぎゅっと目をつぶる私。


だけどそこで、またキスされるのかと思ったら、それ以上何も触れる気配はなくて。


……あれ?


おそるおそる目を開けたら、その瞬間私を見下ろしながらクスッと笑う翠くんと目が合った。


「なんて、ウソだよ」


「えっ……」



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