【完】溺愛したいのは、キミだけ。
今日も部活の午後練を終えて、部室で着替えていたら、真後ろのロッカーで着替えていた颯希が声をかけてきた。


「翠先輩、ちょっといいすか」


こいつは一年の中で一番上手くて、「期待の新人エース」なんて言われてる奴だけど、そのわりに気が優しくて純粋で礼儀正しいから、俺ら二年や三年の先輩からよくイジられている。


まぁイコール可愛がられてるって意味だけど、とにかくいい奴だし、俺もかなり仲がいいほうだと思う。


「ん? どした?」


俺がワイシャツのボタンを留めながら答えたら、颯希はちょっと間をおいてから。


「あの、実は先輩に話したいことがあって……。このあとちょっと待っててもらえますか」


やけに神妙な顔をして言うもんだから、すごく気になった。


「なんだよ。ここでは言えないような話?」


「ま、まぁ……」


どうしたんだ、急に。なんか悩みでもあんのかな。


もしかして、あの幼なじみらしきヒナの妹との恋愛相談か?


「わかった。いいよ」


とりあえず話を聞いてみることにした。



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