【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「で、話って何?」


着替え終わった後、颯希と部室の裏にまわり、二人きりで話した。


俺が問いかけると、颯希は少し気まずそうな顔で言う。


「ちょっと、聞きたいことがあるんですけど……」


てっきり颯希自身の悩みとかなのかと思ってたら。


「先輩って、春田に気があるんですか?」


「……はっ?」


まさかの予想の斜め上をいく質問だったので、ポカンとしてしまった。


春田に気がある? 俺が?


何言ってんだこいつ。


たしかに春田はなんかやたらと馴れ馴れしいし、うちの部の奴らもみんな俺のことが好きなんじゃないかとか騒いでたけど、俺自身は全くあいつに興味はない。


ただ、部員とマネとして普通に接してただけで。


「いや、それがその……翠先輩が春田と抱き合ってたって話を聞いたんで」


「え?」


抱き合ってた? 俺が春田と?


「なんの話だよ。なんで俺があいつと……」


「いやでも、校舎前の花壇の辺りで抱き合ってるのを見たって人がいて……。違うんですか?」



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