【完】溺愛したいのは、キミだけ。

帰りのSHRが終わって、カバンの中に荷物を詰めていたら、ふと隣の席の倉田くんが声をかけてきた。


「涼川さん、あのさ……」


「どうしたの？」


「ちょっと話したいことがあるんだけど、このあと時間ある？」


なんて、いつになく真面目な顔でそう言ってきたので、少し驚いた。


話したいことって、なんだろう。


「うん、大丈夫だよ」


そのまま倉田くんに連れられて、教室を出る。


そして、廊下をまっすぐ突き進み、人けのない階段の前まで来たところで、彼が足を止めた。


こちらを振り向いた倉田くんと、向かい合う。


「あのさ、俺……」


そう切り出した倉田くんの表情は、少し緊張しているように見える。


その様子を見ていたら、なんだかこちらまで心拍数が上がって緊張してきてしまった。


「実は、ずっと言おうと思ってたことがあって」


頬を手で掻きながら、照れくさそうに話す倉田くん。


すると次の瞬間、彼は私としっかり目を合わせると、こう告げた。


「好きなんだ。涼川さんのことが」


「えっ……」