【完】溺愛したいのは、キミだけ。
ドキドキしながら彼に声をかける。


「あの、翠くん、なんで……」


すると翠くんはフッと優しく笑って、それから片手で私の髪にそっと触れた。


「言ったじゃん。ヒナのこと、誰にも渡したくないからだよ」


「……っ」


ねぇ。それって、期待してもいいのかな?


その言葉の意味をそのまま、受け取ってもいいの?


「どうして……そんなこと言うの?」


おそるおそる問いかけたら、翠くんは私の目をじっと見下ろしながら。


「そんなのもう、わかるだろ?」


そう言って、両腕を私の背中に回すと、ギュッと強く抱きしめてきた。


「好きだよ」


耳元で告げられたその言葉に、心臓がドクンと跳ねる。


「いつのまにかヒナのこと、どうしようもないくらい好きになってたんだよ」


……ウソ。本当なの?


翠くんが、私のことを、好き……。


じゃあ、あの時キスは、意味もなくしたわけじゃなくて?



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