【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「颯希から聞いた。見てたんだろ、春田と俺が一緒にいたところ。抱き合ってたとかなんとかって」


「あ……うん」


ウソ。颯希くん、本当に聞いてくれたんだ。


「あれは全然違うから。ただ春田が部活の先輩に言い寄られてるから助けてくれって相談してきて、それで話聞いてやってたら、急に泣きながら抱きついてきてさ。そんで落ち着けって背中ちょっとさすっただけだよ。抱き合ってたとかそういうのじゃないから」


「えぇっ! そうだったの?」


なんだ、そういうことだったんだ。


やだ、私ったら、勝手に勘違いして……。


「うん。まさかそれをヒナに見られてたなんてな。もしかして、俺のこと避けてたのってそのせい?」


ストレートに聞かれてドキッとする。


でも、今度こそ正直に言わなくちゃ。


「う、うん。ごめんね……。翠くんは春田さんのことが好きなのかなって思ったら、ショックで……」


「まさか。あいつのことは全然なんとも思ってないし、興味ないから。むしろ、しつこくて困ってたくらいだし」


そうなんだ。よかった……。


すると翠くん、私の顔をじっと覗き込んできて。


「妬いてたの? 春田に」


「……っ。う、うん」



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