【完】溺愛したいのは、キミだけ。
いつもの時間の電車に三人で乗り込み、空いていた席に並んで座る。


すると私はすぐにカバンからスマホを取り出して、SNSを開いた。


私の朝はまず、このカケルくんのSNSチェックから始まる。


大好きな声優の星野カケルくんは、中学時代にハマったアニメをきっかけに存在を知り、それからいろんな出演アニメを見たり、ラジオを聞いたり、彼が歌う曲を聞いたりしているうちに夢中になった。


優しくてどこかあどけなさの残る透き通った低音ボイスが魅力的で、声だけでなく顔まで爽やかな王子様風イケメンという完璧ぶり。


最近人気急上昇中で、一気に雑誌などでも表紙を飾る機会が増えたし、声優好きな人であれば、たぶんカケルくんのことを知らない人はいないと思う。


耳に着けたイヤホンからカケルくんの歌う曲を流しながら、彼の今日の呟きをチェック。


そしたらさっそく「#朝ごはん」のタグと共に朝食の写真があげられていて、それを見て思わずニヤニヤしてしまった。


カケルくん、今朝トースト食べたんだ。私と同じだ。


そんなささいなことでもすごく嬉しいと思ってしまうくらいだから、もう完全にこれは恋だと思う。


「ふふふ」


思わず声に出して笑ったら、隣に座っていた美羽と雛乃に「また一人で笑ってる」なんて呆れ顔で言われてしまった。


すぐこうして自分の世界に入り込んでしまうから、気づいたら変な人になってしまっていることもしばしば。


でも、カケルくんのことを考えているだけで幸せだから、いいよね。


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