【完】溺愛したいのは、キミだけ。
なにかと思って振り向いたら、特進科の男の子たち数人が上の階から降りてきたところで、その中の一人を女の子たちが指差しながらキャーキャー騒いでいるみたいだった。


ちなみに特進科というのは、うちの学校でも特に勉強のできる優秀な生徒しか入れない学科で、みんな名門大学や医学部志望の秀才ばかりなんだとか。


特進科の生徒はネクタイやリボンの色が違うから、見ればすぐにわかる。学年は同じでも、教室の階が違うから、普段あまり交流はない。


騒がれていたのは、うちの学年の特進科でも有名らしい、神城玲(かみしろ れい)くんという男の子。


私は名前と顔くらいしか知らないんだけど、沙穂ちゃんもまた、そこにいた女の子たちと同じように目をキラキラさせながら彼のことを見つめていた。


「うわぁ、神城くんだ~。やっぱりいつ見てもカッコいい! 憧れちゃうよね~」


沙穂ちゃんに言われ、その神城くんという人に視線を向ける。


たしかに、見るからにものすごくイケメンだし、人一倍オーラがある感じがするし、モテそうなのはよくわかる。


でも、特に興味は持てなくて。



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