【完】溺愛したいのは、キミだけ。
だけど、鼻歌を歌いながらご機嫌に水やりしていたら、なんだか楽しくなってきて、だんだんテンションが上がってきて。


途中から歌のほうに意識が集中してしまい、手元をよく見ていなかった私は、気が付いたら花壇とは違う方向にシャワーを向けていた。


「うわっ!」


――バッシャー!


そして、その時横を通りかかった誰かに、思いきり水をぶっかけてしまい……。 


あっ、ウソ!


「きゃーっ!! ごめんなさいっ!」


慌ててホースの水を止めると、目の前にはずぶ濡れになった背の高い男子生徒が一人、顔の水を腕で拭いながら立っていた。


しかも、よくよく見ると、どこかで見たことがある人で。


あれ? この人は確か……特進科の神城くんとかいう人だ。


今朝も女の子たちからキャーキャー騒がれてた人。


「……おい。なにしてくれてんだよ」



< 195 / 454 >

この作品をシェア

pagetop