【完】溺愛したいのは、キミだけ。
再び声を掛けられ、ハッとして我に返る。


「あ、はいっ! ほんとにすみませんでしたっ! 鼻歌歌ってたら、ついよそ見しちゃって……」


「鼻歌って、お前な……」


「え、えっと私、ハンカチならもってます!」


慌ててポケットからハンカチを取り出し、背伸びして彼の顔や髪をせっせと拭いてあげる。


そしたら彼は困ったように眉をひそめ、私をじっと見下ろしながら言った。


「いや、見てわかるだろ。それじゃ埒明かないから。着替える」


あ、そっか。


「そ、そうですよね! それじゃえっと、着替えを……」


「俺、特進科3-Aの神城玲って言うんだけど」


「えっ?」



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