【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「ふふ、植物はね、毎日違う顔を見せてくれるんだよ。少しずつ成長していく姿を見るのがね、楽しいの」


「ふーん」


スコップを片手に語る私の横で、しゃがんだままじーっと花を見つめる神城くん。


だけど次の瞬間、彼はチラッとこちらに目をやると、何か気が付いたように。


「おい」


「ん?」


振り向いた瞬間、彼の指が私の頬にそっと触れた。


「顔に泥ついてんぞ」


「えっ、ウソッ!」


そのまま指で拭うようにして泥を取ってくれて、思わずドキッとしてしまう。


「あ、ありがとうっ」


照れながらお礼を言ったら、神城くんはフッとイタズラっぽく笑った。


「バーカ」


「なっ」



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