【完】溺愛したいのは、キミだけ。
思わずまたドキッと心臓が跳ねて、全身がかぁっと熱くなったのがわかった。


な、なに言ってるの、翠くん。


っていうか、そんな耳元で喋られたら、ドキドキしすぎてどうにかなりそう。


どんな反応していいのかわからないよ。


「涼川さーん!」


するとそこで、ふと誰かに名前を呼ばれて。


振り返ると、同じキャンペーンガールの女の子の一人が、私の名前を呼びながらこちらに向かって走ってくるのが見えた。


その瞬間、私からパッと身を離す翠くん。


「それじゃまたな」


「あっ……」


「クッキーありがと。がんばれよ」


彼はそう言って笑顔で手を振ると、スタスタとその場を去っていく。


私は慌てて自分もバイバイと手を振ろうとしたけれど、その姿はすぐ人混みに消えて行ってしまった。


入れ替わるようにして、その女の子が私の元へとやってくる。


「ごめーん! このお菓子も追加で配ってほしいって」


「あ、はい」



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