【完】溺愛したいのは、キミだけ。
新たにお菓子の入ったかごを手渡され、受け取る。


するとその女の子が、興味津々な様子で尋ねてきて。


「ねぇねぇ、今の男の子、知り合い?」


「えっ」


今の男の子って……翠くんと話してたところ、見てたんだ。


「あ、はい。クラスメイトで」


「そうなんだー! めちゃくちゃカッコよかったから、超ジロジロ見ちゃったよ~。いいなぁ、あんなイケメンと仲いいなんて」


「そんなっ、仲がいいってほどじゃないんですけど」


「そうなの? でも今、すっごく親しげに見えたよ」


親しげだなんて言われると、ちょっと照れてしまう。


でもそれはただ、翠くんがフレンドリーなだけで、まともに話したの、今日でまだ二回目なんだけどね。


『涼川の可愛いカッコ見ちゃったの、俺だけだったらいいなって思っただけ』


あんなドキッとするようなことを平気で口にするなんて、翠くんってやっぱりチャラいのかな。


でも、ただのお世辞かもしれないのに、ちょっと嬉しいって思ってしまった自分がいる。


だって、今まで男の子に可愛いなんて言われたことなかったから。


私って単純だなぁ……。

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