【完】溺愛したいのは、キミだけ。
――ガラガラッ。


放課後、先生に進路のことで呼び出された私は、出し損ねていた進路希望票を提出して、先生からあれこれ大学受験についてアドバイスを受けたのち、職員室をあとにした。


「……はぁ」


廊下に出た途端、思わずため息が出てしまう。


受験のこと、ちゃんと考えていないわけじゃないけれど、まだ受ける学部から迷っていて、なかなか志望校が決まらないし。


まだ自分が将来何をやりたいのかハッキリしてないから、早く決めろって言われるとすごくプレッシャーに感じて辛い。


できればもう少しゆっくり考えたいんだけどな。


みんなもうちゃんと決めてるのかな、自分の進路のこと。


とりあえず、家に帰ってカケルくんの歌に癒されながら勉強しよう。


そう思って歩き出したら、その時向こう側から男の子が一人歩いてくるのが見えて。


誰かと思ってよく見たら、玲くんだった。


「あ、琴梨」



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