【完】溺愛したいのは、キミだけ。
するとその時、向こう側から自転車が猛スピードで走ってくるのが見えて。


危ないと思ってよけようとしたら、すかさず玲くんが私の肩をギュッと抱き、自分のほうへと抱き寄せてくれた。


「わっ」


彼の腕に閉じ込められたのと同時に、硬い胸板に額がぶつかる。


その瞬間ほんのりと玲くんの匂いがして、なんだかすごくドキドキしてしまった。


「……あっぶねー。飛ばしすぎだろ」


玲くんがそっと腕を離し、私を見下ろす。


「無事?」


「だ、大丈夫っ。ありがとう」


こうして近くで見るとやっぱり、すごくカッコいいなぁと思ってしまう。


どうしたのかな、私。玲くんの声以外にもドキドキするなんて。


「琴梨はこっち歩いて。危ないから」



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