【完】溺愛したいのは、キミだけ。
貝殻を手のひらに乗せて玲くんの目の前に差し出したら、彼がクスッと笑う。


「なんか子供みてぇ」


「えっ」


子供って言われちゃった。


するとその時、ふと玲くんが何か気が付いたように足元に目をやって。


「あ、琴梨」


「ん?」


「カニがいる」


「えっ!」


ウソッ。カニって……。


おそるおそる自分も足元に目を向ける。


そしたらそこには本当に小さなカニが一匹、チョロチョロと横歩きをしながら砂浜を横切っていた。


途端に顔が真っ青になる私。


「き……キャーッ!!」


「おわっ!」



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