【完】溺愛したいのは、キミだけ。
思わず大声で叫びながら玲くんにギュッと抱きつく。


そしたら彼は驚いたように声を上げ、その場に尻もちをついた。


「やだ、怖い……っ。玲くん、助けて……」


「え、カニ怖いの?」


「うん。私、子供の頃ザリガニに指を挟まれたことがあって……。それ以来、カニとかハサミがある生き物、苦手なの」


そう。私、カニとかザリガニってすごく苦手で、ちょっとしたトラウマなんだ。


「ザリガニとカニって、だいぶ違うと思うけど」


「でも、怖い……」


再び目を向けるのが怖くて、ブルブルと震えながら玲くんの体にしがみつく。


「……っ」


そしたら、玲くんが私の耳元でボソッと小声で呟いた。


「あのさ……あんま人のこと煽んなよ」


「えっ?」


煽る? どういうこと?


「こんなの、平気でいろってほうが無理なんだけど」



< 288 / 454 >

この作品をシェア

pagetop