【完】溺愛したいのは、キミだけ。
そのまま雛乃の手を引くと、向こうへ戻って行ってしまった。


うぅ、顔真っ赤だなんて言われちゃった。恥ずかしい。


絶対今、抱き合ってたの見られてたよね?


私がカニに怯えて玲くんに抱きついたばっかりに。


「ご、ごめんね、玲くん。なんか今、誤解されちゃったかな……」


おそるおそる玲くんのほうを振り向いて、謝る。


さっきのことを思いだすと、今さらのようにまためちゃくちゃ恥ずかしくなってしまう。


だけど玲くんは、そこでふぅっと息を吐きだすと。


「いいよ、もう。誤解されとけば」


「え?」


いいの?


「だって俺が今日ここに来たの、琴梨と一緒にいたかったからだし」


「……っ」



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