【完】溺愛したいのは、キミだけ。

「お、お世辞はやめてくださいっ……」


恥ずかしさのあまり、真っ赤な顔で答えたら、翠くんはキョトンとした表情をする。


「いや、べつにお世辞なんか一言も言ってないけど」


えっ？


「……違うの？」


するとそこで彼は、手を繋いだまま私の顔をじっと覗き込んできたかと思うと、


「うん。マジで俺、可愛いって思ってるよ」


優しい表情でそう言った。


「……っ」


一瞬にして、体中が沸騰したかのようにかぁっと熱くなる。


ちょっと待って。本気で言ってるのかな……？


翠くんみたいな人にそんなこと言われたら、嬉しさと恥ずかしさでどうにかなっちゃいそうだよ。


どんな反応したらいいんだろう。


「そ、そんな……っ。あのっ、ありがとう……」


今にも消えそうな声でなんとかお礼を口にする。


そしたら翠くんは、そんな私を見てなぜかクスッと笑った。


あれ、どうしよう。笑われちゃった。


もしかして、冗談だったのかな？