【完】溺愛したいのは、キミだけ。
そう言った途端、颯希は掴んでいた手首をグイっと自分のほうへと引き寄せて。


そのまま顔を近づけてきたかと思うと、次の瞬間私の唇に自分の唇を重ねた。


「……っ」


柔らかい感触がしたのと同時に、頭が真っ白になる。


あれ? なんで……?


なにこれ。何がどうなってるの?


ゆっくりと唇が離れて、至近距離で彼と目が合う。


そこであらためて今起こった出来事を把握した私は、急にかぁっと全身が熱くなった。


ど、どうしよう……。


ドクドクとありえない速度で心臓が脈を打ち始める。


待って。私、今……キスされたよね?


颯希ったら一体、何考えてるの!?


あまりの衝撃に呆然としてしまう。


そしたら今度は颯希にギュッと両腕で抱きしめられた。


――ドキン。



< 382 / 454 >

この作品をシェア

pagetop