【完】溺愛したいのは、キミだけ。
翠くんの手が、私の髪の毛に優しく触れる。


「いいじゃん。やっぱりこっちのほうが可愛い」


笑顔でそう言われて、胸の奥がじわっと熱くなった。


「あ、ありがとう……」


どうしよう。嬉しい。


さっそく気づいて声をかけてもらえるなんて。


すると翠くんが、顔を横に傾けながら尋ねてくる。


「ねぇ、もしかして、俺が言ったからそうしたの?」


――ドキッ。


ど、どうしよう。なんでそんなこと聞くのかな。


いやもちろん、翠くんに言われたからに決まってるけど、真に受けてその気になってバカだとか思われないかな。


「え、えっと、それは……っ」


なんて答えたらいいかわからず下を向く。


そしたら翠くんがじっと顔を近づけ、覗き込んできて。


「違うの?」


うぅ、近い。どうしたらいいの、これ。


正直に言うしかないのかな。


「ち、違わ……ないです」



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