【完】溺愛したいのは、キミだけ。
観念したように認めたら、翠くんがそんな私を見て噴き出すように笑った。


「ははっ。あーもうなんだよ、可愛すぎ」


「なっ!」


可愛すぎ?


「なんかそれ、俺のためみたいじゃん」


「……っ!?」


ちょ、ちょっと待って。そんなふうに言われたら恥ずかしすぎるよ。


私がうろたえながら顔を真っ赤にしていたら、翠くんが肩にポンと手を置いてくる。


そして、耳元に顔を寄せると、ボソッと小声で囁いてきた。


「すげー似合ってるよ」


その瞬間、またドキンと飛び跳ねる心臓。


ねぇ、翠くんはどうしてそんなにドキドキすることばっかり言うのかな。ほんと心臓に悪いよ。


だけど、ちょっと嬉しい。


やっぱり前髪を切ってよかったなって思ってる自分がいる。


翠くんのこと、ずっと遠い存在だと思ってたのに。


まさかこんなふうに話せるようになるなんて。


私まだ、夢の中にいるのかな……。


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