【完】溺愛したいのは、キミだけ。
すると次の瞬間、その横から颯希が割り込むように手を伸ばしてきて、ひょいと私のぐちゃぐちゃのケーキをつまんだ。


そして、みんなの前でぱくっと口にして。


「そんなことない。普通にうまいよ」


ウソッ……。


颯希のコメントに、思わず目を見開く私。


「えぇっ、颯希!?」


「ウソだろ、大丈夫なの、それ」


武史たちが心配そうに眉をひそめる。


颯希はそんな彼らに向かって、ムッとした顔でこう言い放った。


「っていうかお前ら、人が一生懸命作った料理バカにすんなよ」


えっ……。


「誰だって苦手なことくらいあるだろ。俺はべつに、料理できない女子がダメだとか思わないけど」



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