【完】溺愛したいのは、キミだけ。
――数日後。


５時間目の数学の授業中、数学担当の武藤（むとう）先生が、大きな声でみんなに呼び掛けた。


「はーい、よく聞けー。明日は第二回目の小テストやるからなー」


「えぇ～っ！」


突然の抜き打ちテストの発表に、クラスみんなからブーイングが起こる。


この武藤先生、教え方は上手なんだけどけっこう厳しくて、みんなからは「鬼の武藤」だなんて呼ばれてる。


ちなみにサッカー部の顧問もやっていて、練習もなかなかスパルタなんだとか。


「これも成績に入るから、みんなしっかり勉強しろよー」


明日だからあまり時間はないけど、私も帰ったらさっそく勉強しなきゃ。


そんなことを考えていたら、突然武藤先生が私の名前を読んだ。


「涼川」


「はいっ」


な、なんだろう。


「涼川は前回の小テスト、このクラスで一人だけ満点だったぞ。明日も頑張れよ」


その瞬間、教室中に「おぉ～っ」と歓声のような声がわき起こる。


わぁ、どうしよう。褒められちゃった。



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