【完】溺愛したいのは、キミだけ。
その声にハッとして我に返る。


「あっ……う、うん。聞いてる」


「ウソつけ。今すげぇボーっとしてただろ」


うっ、バレてる……。でも、颯希に見とれてたなんて言えない。


「いや、外の雨すごいなぁって思って」


そう言って窓の外に目をやったら、次の瞬間……。


――ゴロゴロゴロッ。


急に雷の音が聞こえてきて、ビクッと体が跳ねた。


「きゃぁっ!」


思わず颯希の腕にギュッとしがみつく。


ど、どうしよう。怖い……。


私、昔から雷だけはどうしてもダメなんだ。


お願いだから、これ以上鳴らないで。



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