【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「ほんとにわかってんのかー? お前、前回の小テストも赤点だったろ。言っとくけど、次も赤点取ったらレギュラー外すぞ」


「は? マジで言ってんの?」


「あぁ。言っただろ? 学生の本分は勉強だって。両立できない奴はたとえエースといえど、俺は容赦しないからな」


「いや、ちょっと待てよ。そんなん急に言われても無理だろ。だってテストって、明日じゃん」


「だから今から頑張れって言っただろ。やる前から文句を言うな。努力あるのみ!」


「はーっ? マジ鬼!」


翠くんにそう言われて、「ははは」と笑いながら去っていく武藤先生。


噂には聞いていたけれど、ほんとに厳しいんだ。


レギュラー外すとか言ってたけど、翠くん、大丈夫なのかな?


なんて思いながら彼のことをじーっと見ていたら、ふと翠くんがこちらを振り返る。


「あ、涼川」


――ドキッ。


「もしかして、今の話聞いてた?」


「う、うん。ごめんなさい、聞いちゃった」


やばい、立ち聞きしてたと思われちゃったかな。



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