【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「えっと、ここはね、この公式を使って……」


机の上に問題集とルーズリーフを広げ、翠くんに数学の問題の解き方を解説する。


静かな放課後の教室で、彼と二人きり。


ドキドキするけれど、不思議なことに翠くんと一緒にいるのはなんだか心地がよくて、最初の頃ほど緊張しなくなった。


こんなふうに自分が男の子と普通に話せるようになるなんて、思わなかったなぁ。


「なるほどね。涼川の教え方、超わかりやすいんだけど」


「そうかな? よかった、そう言ってもらえて」


「俺がバカすぎて引いたりしてない?」


「まさかっ! してないよっ」


「ははっ。ならよかった」


翠くんはいつだって明るくて自然体で、すごく優しい。


こんな私にまで優しく接してくれるし。


ただでさえめちゃくちゃイケメンなのに、性格もいいなんて、これはモテモテなのも納得だなぁと思う。


隣の席で真面目に問題を解く彼の横顔を、ボーっと見つめる。


それにしても、翠くんってほんとにキレイな顔してるんだなぁ。


どの角度から見てもすべてのパーツが整っていて、芸能人みたい。


こんな近くに彼がいるのが、不思議な感じ……。



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