【完】溺愛したいのは、キミだけ。
ちょっと待って。何を言うんだろう。


「そ、そんなっ。恥ずかしいよ……っ」


そしたら彼は、掴んでいた手首を引っ張って、そのまま自分の頬に私の手をピタッとくっつけた。


そしてじっと顔を近づけてくる。


ひゃあっ! 翠くんの頬、触っちゃった。


っていうか、顔近い……。


「ははっ、照れてる顔、可愛い」


「……っ」


ねぇこれは、からかわれてるのかな?


こんなの、照れないわけがないよ。


「ヒナの手、あったかいね」


イタズラっぽくそう告げる翠くん。


「そ、それはたぶん今、ドキドキしてるからで……」


「え?」


あぁやだ。正直に口に出しちゃった! 私ったらなに言ってるの。


そしたらそんな私を見て、彼はクスッと笑うとこう言った。


「じゃあ、俺と一緒だ」


……え?


次の瞬間、翠くんは手首から手を離すと、なぜかその手を私の頭の後ろにまわし、ギュッと自分の胸元に抱き寄せてきて。


「ひゃっ!」



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