【完】溺愛したいのは、キミだけ。
公園を出たあと、学校の最寄駅に向かった私たちは、駅前を二人でちょっとブラブラして過ごした。


一緒に本屋に寄ったり、雑貨屋に入ったり。


まさか自分が、男の子とこんなふうに放課後デートみたいなことをする日が来るなんて思わなかった。


でも翠くんと一緒だと、ドキドキするのに楽しくて、やっぱりとても居心地がいい。


どうしてなのかな。


「えーっ、ヒナちゃん!?」


その時、突然後ろから誰かに名前を呼ばれて。


聞き慣れた声にハッとして振り返ったら、そこには妹の美羽と、その幼なじみの颯希くんが二人でこちらを見ながら立っていた。


「あ、美羽!」


まさか、こんなところで美羽たちにバッタリ会うなんて。


「うわ、翠先輩っ!」


「あれ、颯希じゃん」


颯希くんの声に、翠くんも反応する。


それを見て、そう言えば二人は同じサッカー部だということに気が付いた。


そっか、だから知り合いなんだ。


美羽は私と翠くんが一緒にいるのを見て、すごく驚いたような顔をしている。


「ウソッ。ヒナちゃんが男の子とデートしてる!」


そんなふうに言われて、思わずちょっと焦ってしまった。


「あ、えっと、これは……っ」



< 82 / 454 >

この作品をシェア

pagetop