【完】溺愛したいのは、キミだけ。

*独り占めしたい

翠くんと放課後デートした日の夜、お風呂上がりに美羽が私の部屋へとやってきた。


「それにしてもびっくりしたー。ヒナちゃんがあの人気者の翠先輩と仲良かったなんて」


話題はもちろん翠くんのこと。


「しかも先輩、デートだって言ってたよね? もしかして、けっこうイイ感じだったりするの?」


美羽に言われて思わず顔が熱くなる。


「いや、まだそういうのじゃないよっ! 翠くんはべつに、私のことをそんなふうには思ってないと思うし……」


「ウソーッ! それであんなふうに言う? しかも、ヒナなんて呼ばれちゃってたし。あれはどう見てもイイ感じだったよ~」


「そ、そうかな……」


イイ感じかぁ。そんなふうに見えるんだ。


「うん! あ、もしかしてヒナちゃんが最近髪型変えたのって、翠先輩のためだったりする!?」


――ドキッ。


「えっ、そ、それは……」


どうしよう。翠くんに言われて変えたのは事実だけど。


もし「うん」なんて言ったら、まるで翠くんのことが好きみたいになっちゃう。


身の程知らずだよ、私。



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