【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「ほんとだって~。雛乃、人気急上昇じゃん。翠くん以外にもモテちゃうんじゃないの?」


「い、いや、そんなことありえないよっ。というか、翠くんはべつに私のことは……」


するとそこで、教室の前のドアがガラッと開いて、翠くんが中に入ってくるのが見えた。


「あ、ウワサをすれば翠くんがきた! ほら、さっそくお披露目してきなよ」


「えぇっ! は、恥ずかしいよ……っ」


「いいじゃん、『おはよう』くらい言ってきなって~」


江奈ちゃんにバシンと背中を叩かれ、送り出される。


どうしよう。教室で自分から翠くんに声をかけるのは結構勇気がいるんだけど……。


でも、昨日のお礼くらい言ったほうがいいよね。


翠くんの席へと駆け寄っていき、おそるおそる声をかける。


「み、翠くん!」


その瞬間彼が顔を上げ、こちらを向いた。


「あ、ヒナ」


「おはようっ。あの、昨日はどうもありがとう」


「おはよ……って、えっ?」



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