平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
初めは、なんで教育係りなんて、と思った。でも過ごすうちに少しずつ獣騎士団内のことを覚えていくカルロを見て、いつか相棒獣として立派にデビューさせてあげたい、という気持ちが芽生えてリズの中で日に日に強まった。

相棒獣になれば、仕事のお供としてこの敷地内から外へ出ることが出来る。相棒騎士を乗せて、自由に空を駆け、外の散歩にだって行けるだろう。

自由なカルロには、そんな日々がとても合っているような気がした。

「やっぱり、私が教育係りのせい、なのかな……」

だからカルロはまだ色々と、こちらの暮らしに慣れないのだろうか?

すると一人の獣騎士が、「そんなことはないさ」と苦笑を浮かべて言った。

「リズちゃんは、よくやってると思うよ」

「おかげで、来た当初よりだいぶ落ち着いた」

「他の相棒獣に、喧嘩を吹っ掛ける光景もあまり見なくなったしな」

獣騎士達は、そう口々に励ましてきた。

リズは、ここへ来てから世話になりっぱなしの彼らや、穏やかな眼差しで見守っている相棒獣を見て、柔らかな苦笑を返した。

「そうだといいんですけど」

やれることはやっているつもりだ。なら、もっと頑張ろう。

そう思っていると、安堵したように息を吐いた一人の獣騎士が、ふと思い出したようにチラリとカルロへ目をやってこう言った。

「それにしても、名前まで付けているのは驚いたよなぁ……」

「はじめて呼んでいるのを聞いた時は、いつの間に、って感じだったもんな」
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