平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
近くにいた獣騎士が、当時は驚いたもんだと同意する。

そういえば、呼び分けのため自分が個人的に付けたニックネームだった。正式に名付けるのとは違うから、彼らには戸惑いもあるのかもしれない。

「もしかして、教育係りはニックネームを付けたりはしないんですか?」

「ニックネーム?」

口にした獣騎士含め、彼らが「あ」と今更気付いたような顔をする。

「それってつまり、仮の名前……?」

「はい、そうですよ」

「あ、なんだ。ちゃんと名付けたとかじゃないんだな」

ホッとした感じを受けて、リズは小さく笑った。

「だってちゃんとした名前は、相棒になった獣騎士が正式に付けるんでしょう? 騎乗して魔力で繋がれている間は、意思疎通が出来るからそこで呼び合うとか」

彼らは揃って少し意外そうに見つめる。

「よく知ってるな? 俺らが騎乗中、実は相棒獣と頭の中で言葉を交わし合ってるとか、名前のことも獣騎士団以外だとほとんど知られてないんだけど」

「カルロが教えてくれたんです」

「え」

「白獣ってすごく賢いんですね。まさか人間の字を爪で器用に書けてしまうなんて思ってもいなくて、はじめて見た時は驚きました」

リズが思い返してのんびり笑う中、獣騎士達は、思わず一斉にその隣へ目を向けた。
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