平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
こればかりは、すぐにでも誰かに聞いてみた方がいい。

「教えてくれそうな親切で優しい人……」

すぐにパッと頭に浮かんだのは、人がよくて面倒見もいい副団長のコーマックだった。団長ジェドが出払っている際、留守を任されていることも多い人だ。

リズは、彼とコンタクトを取ってみることにした。

忙しい人であるのは分かっているので、敷地内にいた獣騎士に今日ここにいるのか確認してから、少し会いたいと伝言を頼んだ。

そうしたらすぐに返事があり、正午休憩前に待ち合わせることになった。

「リズさんの方から、突然の呼び出しがあるとは思わなくて驚いてしまいました」

カルロのブラッシングが終わった後、コーマックは待ち合わせていた獣舎近くまで駆けつけて来てくれた。

走ってきたのか髪が少し乱れている。その後ろには、彼を心配したのか、美獣といった顔立ちをしている印象が強い相棒獣の姿もあった。

「副団長様、お忙しい時にすみません。……お時間は大丈夫ですか?」

「あっ、大丈夫ですよ。ちょっと外部とのやりとりが立て続いて」

コーマックはリズの視線に気付くと、そう言いながら慌てて髪を直した。軍服のロングジャケットの曲がっていた裾部分を、相棒獣が気を利かせて鼻先で下ろす。

「僕の方は、やりとりや書類関係は、午前中で終わらせてきましたから時間はあります――それで、何かありましたか?」

困ったことはないか、とコーマックの優しげな目が心配して尋ねてくる。

リズは、カルロと少し目を合わせた。
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