平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「えぇと、立ち話しもなんですから、副団長様、少しあちらへ」

すぐそこにあった木陰に誘った。ひとまず疲れている彼を座らせると、自分も隣に腰を落ち着ける。

「実は、少し訊きたいことがありまして……」

時間を取らせてしまって申し訳ない気持ちが大きくて、リズは先程ふと覚えた疑問について、ごにょごにょとぎこちなく切り出した。

向こうに見える本館の建物や、少し近くに見える獣舎にも穏やかな日差しが降り注いでいる。

前に広がっている芝生には、カルロが座ってふさふさの身体に太陽の光を浴びていた。相棒騎士の一休みに便乗したコーマックの相棒獣が、サクサクと芝生を踏む音を楽しむようにして優雅に散策している様子を、じーっと見やっている。

「――なるほど。相棒獣になるタイミング、ですか」

話を聞き終わったところで、コーマックが納得したように一つ頷いた。

「とても大事なことですし、それならリズさんが呼び出すのも当然ですね」

「そこに気付くのも遅くなってしまって……うぅ、未熟な教育係りでほんとごめんなさい」

「いえ、謝るのは僕の方ですよ。教育係りになった時、先にそちらについても教えておくべきでした」

だから気にしないで、とコーマックは困ったように微笑んでくる。

決してこちらを悪く言わず、フォローまでしてくれる。リズは『理想の上司ナンバー2』である彼の、美しい気遣い笑顔を前に感動した。

「実は白獣は、相棒となれる騎士と出会うと、三段階の手順を踏むんですよ」

コーマックは手振りを交えて、丁寧に説明し始めた。
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