平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
不安が胸の奥から込み上げてくる。

思わずリズは、知らず胸元をぎゅっと握り締めていた。

「私は、ほとんど何も教えられていないのに……?」

「教えられていますよ、大丈夫です」

コーマックは、優しげに微笑む。

「リズさんが思っている以上に、カルロは沢山のことを学んで覚えていっています。敷地内の散歩の運動でも、首輪が外れる日もそんなに遠くないと思いますよ」

「そう、かしら……」

「そうですよ。それに、あなたの前で彼が『お座り』をした時、だから僕らは心配がなくなったんです。ここに来て一番目に信頼を預けた人間を、白獣は先生としてきちんと言葉に耳を傾け、決して傷付けはしませんから」

そういえば、怪我はしていないのよね。

今更になって気付いたリズは、そう思って自分の手を見下ろした。ひっくり返ったとしても、転倒したとしても、擦り傷を作ったことはない。

「そうして、リズさんが知りたがっていた相棒獣となるタイミングですが」

そんな声が聞こえて、ハッと目を戻す。

こちらを見つめているコーマックの目は、優しげだけれど真面目な雰囲気も漂っていた。彼はリズをしっかりと見つめ返して、指を一つ立てる。

「白獣が相棒獣となるためには、サードコンタクト――つまり最終儀式があります」

最終儀式、なんて言い方をされて緊張してしまう。
< 111 / 182 >

この作品をシェア

pagetop