平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「トナーさん!」

せいいっぱいの大きな声を出したら、彼らが気付いて「へ?」と目を向けてきた。足で級ブレーキを踏んで、のろのろと遅い走りのリズを待ってくれる。

「リズちゃん、どうした?」

「いえ、少し質問したいことが」

駆け寄ったリズは、上がった呼吸を整えながら言った。離れず追ってきたカルロが、悠々とした様子ですぐ後ろで足を止める。

すると、トナーの後ろにいた獣騎士達が、「あ」と何かに気付いた顔をした。視線を交わし合ったかと思うと、トナーを肘でつついて急ぎ小声で話し出す。

「そういや、リズに誰か伝えたか?」

「いや、分からないな……」

「つかこの時間だぞ、まずくないか?」

そう言葉早くトナーに確認された獣騎士が、ガバッとリズを振り返る。

「リズちゃん、今はまだカロルの方をやり始めたばかりだよな?」

「え? ああ、そうですね」

突然振り返られて、リズはびっくりしつつ答えた。

その途端、彼らかが揃って胸を撫で下ろした。一体なんだろうと小さな違和感を覚えたものの、そんなことよりも訊きたいのは別だ。

「あの、走っているところを呼び止めてしまって、ごめんなさい」

急ぎ正門側に向かっているところらしい彼らの時間を、そんなに取らせられないと感じて、リズは手短に済ませるつもりで早速切り出した。
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