平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「いいか。俺は、お前が付けたカルロのままで行くと決めていたし、カルロだって、元より変更する気は毛頭ない――と俺に伝えてくるぞ」

下のカルロへと指を向けて、ジェドがそう教えてくる。

リズは、そういえば相棒騎士と相棒獣は、意思疎通が出来るのだと思い出した。魔力が繋がっている間は、心の中で会話が出来るのだとか。

でも、名前については本来、相棒騎士が相棒獣へ贈る一番目の大切なもの、であるとリズは聞いていただけに戸惑いも大きかった。

そのままでいい、とは一体どういうことだろう。

本人達がそれでいいというのだから、いい、のだろうか……?

するカルロが、「ふん」と鼻息をもらして少し四肢を屈め、ジェドがこちらに手を伸ばしてきた。

「ごちゃごちゃ煩いな。いいから、とっとと乗れ」

「え? 乗る? ――あッ」

前触れもなく持ち上げられ、そのまま彼の前に座らされてしまった。

尻の下が柔らかい。それでいてすぐ後ろには、支えてくれているジェドの身体の体温を覚え、どうしてか更に緊張してしまい、リズは幼獣達をぎゅっとした。

「あ、あの、団長様……?」

おずおずと声を出して確認する。

「私、両手でこの子達を抱えているので、しがみつけないのですけれど――」

「俺が支えるから平気だ。お前はただ、俺に身を任せていろ」

言いながら、彼の手が腹に回ってきた。
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