平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「――よし、行くか」
直後、彼は自分の相棒獣の背に合図を送った。カルロが、よしきたと言わんばかりに、大きな白い身体をしならせ、解放感たっぷりに四肢を動かす。
一気に空を駆け出されてしまったリズは、胸の幼獣達をぎゅっとし「きゃぁあああああっ!」と声を上げて、ジェドの方へ身を寄せた。
「一気に降下するとか怖すぎるいやあああああッ」
「ははっ、大丈夫だ。カルロも俺も絶対に落とさない」
「人が半泣きしているそばで、なんですごくいい笑顔なんですか!? あっ、待ってカルロ急に方向転換するの無し! やだ団長様もっとぎゅっとして!」
「ははは、いいぞカルロ。今日が初めてにしてはいい飛行だ」
なんだかジェドが上機嫌で告げ、カルロも「ふんっ」と楽しげに鼻を鳴らした。
けれどリズは、とにかく怖いし速いし風もすごいし――相棒獣になったカルロのデビュー飛行を楽しむ余裕なんてなかったのだった。