平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
ブラッシングを終えた毛並みは、とてもふわふわとしている。綺麗にした口許からは、先程あげたミルクごはんの匂いがほんのりと漂っていた。

「ああ、なんて癒されるのかしら」

このまま、もふもふに浸っていたい……。

彼らは、これから一回目の食後の仮眠の時間だ。一緒に少しだけ横になってしまってもいいかしら、と、リズは今日からの再び専属な世話係りライフを思った。

緊張感皆無の微笑みを浮かべて、心から癒されて幼獣達に額を付ける。

「ふふっ、ほんとに可愛いわねぇ。大好きよ」

その時、不意に、後ろの襟首をバクリとくわえられた感触がして、身体が持ち上げられた。集まっていた幼獣達が、ころころっと落ちていく。

「一体何事!?」

びっくりして目を向けてみると、そこには、何故かカルロがいた。服の後ろを、口で掴まれて持ち上げられている状態である。

ジロリと見下ろしてくるカルロの紫色(バイオレット)の目は、なんだかちょっと不機嫌だ。

「え……、もしかしてまた野生に返っちゃったの?」

この傍若無人な光景には覚えがあって、リズは混乱した。昨日、最後に会った時は相棒獣デビューですごく嬉しそうだったのに、何かあったのだろうか……?

すると、疑問の声に答えるように知った男の声がした。

「そんなわけないだろ」

そう聞こえてようやく、リズは、カルロの背にジェドがいることに気付いた。

腕を組んでいる彼は、何故か切れる五秒前といった笑みを浮かべていた。夜のような深い紺色の髪が、形のいい青い目にかかってさらりと揺れている。
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