平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
その後も色々頑張ったものの、リズはなかなか就職先が見付からなかった。そうして季節だけが変わっていき、再び巡ってきた仕事募集期間の今年の春――。
ようやく採用決定の知らせをもらったのだ。
リズは郵便物を取った玄関先で、「やったー!」と泣いて喜んだ。
なんだなんだと家族や近隣の人達も出てきて、一緒になって喜んでくれた。けれど、その喜びも束の間、家族が先に気付いて青褪めた。
村人達も、遅れて郵便物に書かれている文字を見て「え」と固まった。そこまできてようやく、リズも書面を確認して「ひぇぇ……」と血の気が引いた。
――王国軍第二十四支部、獣騎士部隊団。
そこの非軍人籍組織の事務員としての採用だった。隣町であった就職活動会場に行った折り、就職希望書類の投函先をうっかり間違えてしまっていたのだ。
おかげでリズは、十七歳にしてたった一人、村を出た若者の誰よりも遠いウェルキンス王国の東にある、グレインベルトという大きな町で暮らすことになった。
そこは王国軍第二十四支部の、獣騎士部隊団がある地だ。
大規模な町、山々といった大自然にも囲まれた、国内領土第二位の広大な土地である。リズは、そんな獣騎士団関連の机仕事を別館でやっていた。