平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
実は、ここは国で唯一の戦闘獣「白獣」の生息地としても知られており、獣騎士部隊団、通称「獣騎士団」が保護と管理まで行っていた。
獣騎士団は、白獣を相棒獣として戦う騎士達だ。戦闘獣の魔力を引き出せる精鋭部隊軍で、大昔からこの地にいた獣戦士団が、今の「獣騎士」となっている。
白獣は希少種の魔力保有生物で、騎乗する騎士に魔力を引き出してもらうことで地上のどんな生物よりも速く走り、空を駆ける国内最大の戦闘獣である。
つまり獣騎士だけでなく、戦闘獣にとっても相棒は欠かせない存在だった。
戦闘獣である「白獣」は、自分に必要な相棒騎士を求める性質から、基本的に獣騎士にしか懐かないことでも知られている。
――たとえ相棒騎士がそばにいたとしても、手が届く距離には絶対に入るな。
別館側の非戦闘員の職員達も厳重忠告がされていた。だというのにリズは、入社初日から、何故か相棒獣も出入りしている本館側のお使いをよく頼まれている。
「…………もしバッタリ警戒距離内の近さで出くわしたら、パクリとイかれる」
廊下を曲がった先にいたら、と想像して「ひぇぇ」と小さく震えた。勤務してから二週間、幸いにして今のところ館内で遭遇はしていない。
入社初日、注意説明のため演習風景を別館の窓から見せられた。
遠くから見た大型戦闘獣達は、素晴らしいくらいふわふわとした優雅な白い毛並みをしていた。なんか上品、癒し、可愛い……という感想が浮かんだ。