平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「ふんっ」
凶暴なその白獣が、気に食わない顔でそう鼻を鳴らす。
暴れ獣は『お座り』ポーズを続けていて、偉大そうに持ち上げられた頭はとても高かった。立派な胸元、風に波打つ優雅な純白の毛並みも美しい。
目付きはかなり鋭――凛々しいけれど、やはり他の白獣と同じくとても美しい紫色(バイオレット)の瞳をしていた。近くで見ると、日差しに透けて煌々と輝いて見える。
やっぱり宝石みたいだ。
見開いたリズの赤紫色(グレープガーネット)の目に、見下ろす獣の似た色合いの目が映っている。
何がどうなっているのか分からない。リズが呆気に取られていると、獣がすんすんと顔を寄せてきた。
直後、大きな舌でべろんっと顔を舐められてしまった。転倒の際に打ち付けていた額に、獣的な生温かさと、ざらざらとした舌触りを感じた。
「…………これは、一体……?」
直前まで死ぬかもしれないと思っていた緊張感が、一気に抜けてリズは放心状態になった。
疲労感も覚えて動けないでいると、遅れて騎士達が駆け付けてきた。そこには団長ジェドだけでなく、副団長コーマックの姿もあってそばで足を止める。
彼らは、自分と同じくどこか呆気に取られている感じも伝わってきた。駆け寄ってきたというに、言葉なく向け続けられている視線が気になる。
リズは沈黙に耐えかねて、困惑のド真ん中の心境で「あの」とぎこちなく声を出した。
「これは……えっと、どういうことなのでしょうか?」
凶暴なその白獣が、気に食わない顔でそう鼻を鳴らす。
暴れ獣は『お座り』ポーズを続けていて、偉大そうに持ち上げられた頭はとても高かった。立派な胸元、風に波打つ優雅な純白の毛並みも美しい。
目付きはかなり鋭――凛々しいけれど、やはり他の白獣と同じくとても美しい紫色(バイオレット)の瞳をしていた。近くで見ると、日差しに透けて煌々と輝いて見える。
やっぱり宝石みたいだ。
見開いたリズの赤紫色(グレープガーネット)の目に、見下ろす獣の似た色合いの目が映っている。
何がどうなっているのか分からない。リズが呆気に取られていると、獣がすんすんと顔を寄せてきた。
直後、大きな舌でべろんっと顔を舐められてしまった。転倒の際に打ち付けていた額に、獣的な生温かさと、ざらざらとした舌触りを感じた。
「…………これは、一体……?」
直前まで死ぬかもしれないと思っていた緊張感が、一気に抜けてリズは放心状態になった。
疲労感も覚えて動けないでいると、遅れて騎士達が駆け付けてきた。そこには団長ジェドだけでなく、副団長コーマックの姿もあってそばで足を止める。
彼らは、自分と同じくどこか呆気に取られている感じも伝わってきた。駆け寄ってきたというに、言葉なく向け続けられている視線が気になる。
リズは沈黙に耐えかねて、困惑のド真ん中の心境で「あの」とぎこちなく声を出した。
「これは……えっと、どういうことなのでしょうか?」