平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
目の前で『お座り』をして、苛々したように尻尾を芝生にぶつけ出した不良白獣を指して、そう尋ねた。

するとハタと我に返ったコーマックが、慎重に歩み寄りながら手を動かした。

「リズさん、落ち着いて聞いてください」

説得でもするみたいに、なんだか彼が気になる前置きをしてきた。

正直言って、すぐには立てそうにもないくらい力は抜けている。リズはちらちらと大型級の白獣を窺いながら、自分の横で片膝をついたコーマックを見た。

「今、あなたの目の前にいるのは、相棒騎士のいない白獣ですが害はありません。だからまずは、落ち着いてください」

「害は、ない……」

リズは、混乱している頭に理解させるように反芻する。

見つめ返してくるコーマックが、慎重に一つ頷いた。すぐそばにいるジェド、それから一緒になって見守っている他の獣騎士達を代表するようにして告げる。

「先日の異動の矢先で、僕としても非常に伝えづらいのですが、その…………あなたは、団長の相棒獣予定でやって来た『彼』に、教育係りとして指名されてます」

相棒獣予定? 団長様の?

というか『教育係り』って、何。

「…………はい……?」

もう色々と分けが分からなくてなって、リズは呆気に取られた声が出た。
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