平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「真っ白な身体で優雅に歩いていて、首輪なんて全然イメージになくて……自然の中で生きているもの、とても窮屈そうで首輪がない方が自由かな、って」

言いながら、リズは視線を落としていた。気持ちを自分なりに伝えてみたものの、言葉にするのは難しい。

カルロはしばらく黙っていた。

不意にガリガリと音が聞こえて、リズはそちらへ目を向けた。

『考えたことない』

本当にそうなのかしら?

リズは、返ってきた答えを疑問に思った。人の暮らしを知らずに生きてきたとはいえ、それを見せた時、首輪を知らない風ではなかった。

あの時も、その後も、思えばカルロは首輪を拒まなかった。獣騎士団で教育係りまで選んだ『彼』は、それだけの理由があるのではないだろうか……?

「ずっと山奥にいたんだろうって、トナーさん達が言っていたの」

幼獣達の世話日記を渡された時、今日もお疲れ様と話しながら聞いたことを思い返し、リズはそう切り出した。

「白獣は人の気配に敏感で、獣騎士であったとしても姿を隠すのが大半とか。それでいて見付けた場所が麓に近かったから驚いた、とも話していたわ」

自らの意思で出てきて、近付く獣騎士達に気付いても留まった。

「どうして降りてきたの?」

リズが尋ねると、カルロが思い返すような目を落とした。考えるような間を置くと、のっそりと大きな前足を持ち上げて地面に字を刻む。
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