平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
一章 巻き込まれてモフモフ始まりました
対面した『理想の上司ナンバー1』の上司は、実は『鬼』だった。
しかも隠している理由が、軍人領主として自分都合で社交界に融通を利かしてもらうため――とかいう腹黒い理由だったとか、聞きたくなかった。
それを別館の勤務二週間で知ってしまうとか、不幸としか思えない。
「貴族ってのは、結構面倒が多いんだよ」
事情を要求したわけでもないのに、目の前で裏事情をぐいぐい喋ってくるのが超怖い。
正座させられているリズは、ガタガタしながら涙目で最悪な心境のド真ん中だった。ジェド・グレイソンは素の表情で、八つ当たりのごとく喋っている。
「俺がここにいるのは、領民と部下と白獣のためだ。ぴーちくぱーちく、俺や領民のためにもならない話やらに付き合ってられるかってんだ」
そこで、ようやく腹の虫がほんの少しばかりは落ち着いてくれたらしい。ジェド・グレイソンが、一旦言葉を切って視線を外してくれた。
「チッ、想定外だ」
ぼそりと吐き捨てられた愚痴に、リズはビクリとする。
ここでトップの上司である団長様は、書斎机に座って足を組んでいた。つい先程持ってきたばかりの書類が入った茶封筒が、尻の下に敷かれている。
「このクソ忙しいタイミングで、まさか見られるとはな」
いえ、私こそ見たくなかったんです……。
苛々したようなジェドの低い声を聞きながら、リズは涙目が増した。二週間前まで田舎暮らしだった平凡な庶民だったのに、なぜこんなことに。
しかも隠している理由が、軍人領主として自分都合で社交界に融通を利かしてもらうため――とかいう腹黒い理由だったとか、聞きたくなかった。
それを別館の勤務二週間で知ってしまうとか、不幸としか思えない。
「貴族ってのは、結構面倒が多いんだよ」
事情を要求したわけでもないのに、目の前で裏事情をぐいぐい喋ってくるのが超怖い。
正座させられているリズは、ガタガタしながら涙目で最悪な心境のド真ん中だった。ジェド・グレイソンは素の表情で、八つ当たりのごとく喋っている。
「俺がここにいるのは、領民と部下と白獣のためだ。ぴーちくぱーちく、俺や領民のためにもならない話やらに付き合ってられるかってんだ」
そこで、ようやく腹の虫がほんの少しばかりは落ち着いてくれたらしい。ジェド・グレイソンが、一旦言葉を切って視線を外してくれた。
「チッ、想定外だ」
ぼそりと吐き捨てられた愚痴に、リズはビクリとする。
ここでトップの上司である団長様は、書斎机に座って足を組んでいた。つい先程持ってきたばかりの書類が入った茶封筒が、尻の下に敷かれている。
「このクソ忙しいタイミングで、まさか見られるとはな」
いえ、私こそ見たくなかったんです……。
苛々したようなジェドの低い声を聞きながら、リズは涙目が増した。二週間前まで田舎暮らしだった平凡な庶民だったのに、なぜこんなことに。